南が丘動物通信

猫の心臓に問題のない心雑音 20年11月10日

猫の心雑音には病的なもの以外に非病的なものがあることでご存じでしょうか。

病的なものの原因にはご存じの通り心筋症によるものがあげられ、その多くが肥大型の心筋症と拘束型の心筋症を原因とすることがほとんどであることが知られています。

では非病的なものの中には何があるかといえば、一番多いといわれているのが動的右心流速路閉塞による機能的な心雑音と言われています。この動的右心流速路閉塞とは猫が過剰なストレスと受けた際や、心拍数増加効果のある薬を使うなどして交換の緊張が亢進されると左心の収縮率が上がってしまうことにより、右心から肺大動脈への流速が阻害されてしまうために生じる雑音のことです。心拍数が落ち着いてくると聞こえなくなることも特徴で、家では聞こえなくても病院に来て緊張すると聞こえますが、心臓エコーをしても明らかな心筋症や弁膜症はみられません。

また、機序としては不明ですがHtが20%を下回るような貧血や、発熱によっても心雑音が聴診されるようになることが知られています。

ほかにも僧帽弁の収縮期前方運動によって起こる機能的雑音、いわゆるSAMもありますが、SAMに関しては病的な原因でも引き起こされるためきちんと鑑別診断が必要です。

いかがでしょうか、猫に心雑音が聞こえて心エコーをしても何も異常がない、そんなときにはほかに原因がないか確認してみてはどうでしょうか

S.A