南が丘動物通信

8月23日 葉月会 腎・泌尿器学シリーズセミナー 19年08月23日

知っているようで知らない泌尿器疾患

9回それでいいの?尿路感染症の治療

宮川優一 日本獣医生命科学大学 獣医内科学教室第二 講師

 泌尿器疾患について基礎から見直すこのシリーズセミナーの9回目は尿路感染症についてでした。尿路感染症は遭遇する機会の多い疾患だけに基礎から見直す良い機会になりました。

 犬では細菌感染の膀胱炎が多く見られますが、これにはクッシング症候群、糖尿病、ステロイド剤の投薬などの基礎疾患や要因が背景にあります。そのため頻繁に膀胱炎を繰り返す症例では常にその原因を探しにいく必要があるということです。また細菌がいる=細菌性膀胱炎とはいえず、治療対象になるものなのか慎重な判断が求められます。

 一方猫では感染による膀胱炎は尿濃縮機能低下によるものが多くなりますが、腎機能が低下する高齢猫に多いものです。若齢猫での感染は医原性が最も多く、これは獣医師が感染させないよう配慮せねばならないと感じました。

 また安易に抗生剤を使用するだけでなく、動物の皮膚をきれいにするなどの対処が重要であることも確認できました。今後の診察に活かしていこうと思います。

T.S.