猫ちゃんの虹彩に黒い模様がでてくる。といった病気はいくつかあり、純粋に色素が沈着している良性のもの(虹彩色素沈着症)から悪性の虹彩黒色腫までその病態も様々です。
今述べた2つの疾患は初期は虹彩表面に色素班が生じるところまでは同じ病態をたどりますが、色素沈着症の進行がゆっくりで瞳孔異常を起こさないことに対し、悪性虹彩黒色腫は進行が早く広がっていくだけではなく、隆起したり、新たな色素班が生じていきます。このことによって二次的な緑内障やブドウ膜炎を起こすと痛みを生じます。また、遠隔転移することもあり、迅速な診断と摘出が望まれます。
同じような瞳孔の形がおかしく、黒く隆起したものが見える。という場合に虹彩毛様体嚢胞というものがありますが、こちらは良性の病気になります。虹彩の前から出ているのか後ろから出ているのか、あるいは中身が空っぽなのか充実しているのかによって診断は可能です。同じような症状に見えてもいいものと悪いものは鑑別可能なことがほとんどです。もしもおうちの猫ちゃんの眼に黒いものが見える場合、さらに広がっているのではないかなと感じたら一度ご相談ください。
S.A