僧房弁閉鎖不全症とは、心臓の左心房、左心室を隔てる弁に起きる異常であり、小型犬の心臓病の大半を占める病気です。特に多いとされている犬種はキャバリアで、ほとんどの犬が老年で罹患するのに対して、この犬種では1歳で罹患する症例も珍しくありません。今回は、菅野信之先生の「基礎からしっかり学ぶ循環器疾患シリーズ」の五回目を受講し、僧房弁閉鎖不全症の診断と治療について学んでまいりましたのでご紹介させてください。
僧房弁閉鎖不全症の治療方針としては内科的治療、外科的治療の2つが考えられます。内科的治療では細かいステージ分類が定められており、各ステージによって推奨されている治療法が異なってきます。したがって、僧房弁閉鎖不全症の治療においてはこのステージ分類が大変重要です。今回の講義では、そのステージ分類の方法、そしてそれぞれのステージに合った薬剤の選択の仕方、使用方法について詳しくご教授頂きました。心臓病は、症状が出始めたときには既にかなり重症であることが多いとされています。一般的に僧房弁閉鎖不全症の予後は良好とは言えません。しかし、早期発見により上手に付き合っていける病気でもあります。僧房弁閉鎖不全症は心雑音の聴取により発見することができます。普段から定期的に健康診断にきていただき、聴診させていただくことをお勧めします。