点眼薬は内服薬や注射薬と異なり、あまり副作用について重要視されない傾向にあります。症状の改善がみられないと、他の点眼薬に切り替えたり、点眼薬を増やしたりして治療することが多いです。
しかし、いずれの点眼薬にも副作用があり、重度な場合にはショックを起こすこともあります。一番多くみられる副作用は、点眼後にまぶたの周りや内側が腫れていたり、しみるなどの刺激を訴えることが多いです。
犬・猫の眼の病気の治療にはさまざまな治療薬を使用しますが、結膜の充血や刺激などの副作用をあらわす場合があります。
その中でも猫は、犬に比べて点眼薬による副作用が原因で治療が遅れているケースを診療する機会が多いです。その場合、防腐剤を含まない点眼薬に変更すると、ほとんどの症例で症状が落ち着くことが多いです。
点眼薬には容器中に細菌やカビが繁殖しないように防腐剤が使用されています。その多くがベンザルコニウム塩化物という物質で、ベンザルコニウム塩化物は細菌の細胞膜に作用して効果を表しますが、角膜の細胞質にも作用してたんぱく質を変性してしまうため、角膜に障害を起こします。
また、点眼治療を行っていてもなかなか治癒しない、再発する場合には点眼回数の問題もあります
点眼の回数は、決められた回数を守って使用すべきで、自己判断で回数を増やしたり、減らしたりすることで、治癒が遅れたり、治癒しなかったり、悪化する場合があります。
・点眼回数が多い :まぶたの皮膚の炎症や重度涙焼け、角膜炎、角膜潰瘍等
・点眼回数が少ない :治療効果がほとんどあらわれない
最後に点眼薬の長期投与にも注意が必要です。
どんな薬でもそうですが、長期投与することで副作用が現れる場合があります。 点眼薬は、薬剤のすべてが眼内に入るわけではないため、余分な点眼薬は眼瞼より外にあふれて皮膚に接触します。あふれた薬剤を拭き取らず、長期間そのままの状態にしておくと皮膚炎を起こす場合があります。
いろいろ書きましたが、点眼治療は獣医師に相談の元、適切な治療を行いましょう。どんな些細な質問でも、獣医師が丁寧に対応いたします。
適切な治療で、愛犬・愛猫の眼の健康を守っていきましょう。
Y.N