犬の前立腺疾患は感染性と非感染性に分類され、前立腺炎は感染性に分類されます。
通常前立腺炎は尿道の正常細菌叢の細菌が、前立腺のほうへ逆行して前立腺に感染することで引き起こされます。もともと前立腺は様々な感染に対する防御機構があるため、健康な状態では感染が起こることはほぼありません。そのため、前立腺炎はなんらかの原疾患をもっていて、2次的に引き起こされることが一般的です。特に、未去勢オスにおける良性前立腺肥大、前立腺扁平上皮化生、前立腺の腫瘍が前立腺炎を引き起こす代表的な疾患です。
前立腺炎を認めた際にはこのような原疾患がないかどうかの鑑別をしたうえで、抗菌剤を使用します。一般的には抗菌剤の使用は3~6週間という長い期間の服用が必要な根気のいる病気ですし、根本的な原因が改善されなければ再発のリスクがあります。ただし、良性前立腺肥大からの前立腺炎に対してはホルモン治療や去勢手術によって改善されるケースが多く繁殖犬でなければ去勢してしまうことがおすすめされます。
S.A