南が丘動物通信

新しい動物用止血剤 ヘマブロック® 17年07月23日

コラーゲン製剤やゼラチン製剤など様々な局所止血剤が人医療および獣医療の外科手術で用いられています。最近、新しい局所止血剤ヘマブロック®が動物用管理医療機器として承認されました。ヘマブロック®はジャガイモ由来の微小孔デンプン球(MPB)と綿花由来の微線維性カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCS)からなる植物由来の局所止血剤です。局所止血剤はそもそも実質臓器からの湧出性出血(ウージング)の止血に最も適しており、粉末状であるヘマブロック®は凸凹した臓器表面(特に肝臓など)でも比較的均等に止血剤を分布させることが可能となりより大きな止血効果が期待できます。即効性も高く、親水性のMPBCMCSが瞬時に血液中の水分を吸収して膨張し、血液成分(血小板、赤血球、血漿蛋白)が速やかに濃縮され、約12分以内に止血が完了します。また生体吸収性は良好で、適用後1週間以内に体内から消失するので余計な組織反応も起こしません。

局所止血剤は、例えば動脈性出血が持続している部位などに適用しても止血効果が発揮できないように、すべての出血部位に応用できるわけではありませんが、外科的止血の基本を考えた上で、圧迫、結紮、縫合および電気メスなどの止血機器を用いた止血などと組み合わせて適材適所に用いることが、術中のより確実な止血につながることとなります。

H.B.