インドシアニングリーン(ICG)は約800nmの光を吸収すると発熱(温熱効果)し、さらに活性酸素を誘導(光線力学効果)することからがん治療への応用の可能性が期待されています。
本治療はICGを結合させたリポソームに抗癌剤を埋包させた薬剤を静脈点滴した後、薬剤が選択的に集積した腫瘍部位に定期的に近赤外線レーザー(約810nm)を照射します。レーザー照射による光線力学的温熱効果に抗癌剤の効果が加味されることで、より効果的ながん治療が可能となります。
本治療は鳥取大学の岡本芳晴教授を中心に研究・臨床応用をすすめている治療で、頭頸部腫瘍(扁平上皮癌など)や鼻腔内腫瘍、深部腫瘍、体腔内腫瘍など種々の悪性腫瘍症例で適応可能です。外科摘出が困難な症例や腫瘍の進行・増大により状態が悪化した症例で、大きな副作用を起こすことなく、腫瘍サイズの縮小や食欲の改善などQOLの維持・向上が期待できる治療法のひとつです。
H.B.