2017年1月6日、毎日新聞で猫の関節炎に関する記事がありました。その内容は、①猫の関節炎と人間の関節炎は発症メカニズムが異なる、②猫の関節炎の罹患率は1~4歳で30%、5~10歳で56.5%、11歳以上は90.6%、③猫の関節炎には現在鎮痛剤などの対症療法以外に治療法はない。発症メカニズムが分かれば、今までと異なったアプローチで猫にとって副作用の少ない薬の開発・実用化が期待されるといった内容でした。
この、猫に起きる関節炎は変形性関節症と言われ、関節軟骨がすり減って変形したり石灰化することで関節が正常に動かなくなり、変形した骨が神経を刺激したり、関節周囲に炎症が起きるため慢性的な痛みを伴います。膝関節、肘関節、股関節、足根関節、手根関節などあらゆる関節に発生する可能性があります。
猫は犬に比べて身軽で運動能力も高く、また家で一日中ゴロゴロ寝ていることが多いため痛がっていることに気づきにくいですが慢性の進行性の関節炎を患っていることが想像以上に多いです。階段の上り下りを嫌がる、動作が遅くなった、よく寝ている、食べる量が減った、グルーミングしなくなるなどの一見加齢に伴う変化に見えるものも関節が痛いというサインの可能性があります。また、歩き方がおかしい、関節が腫れている、手根関節・足根関節の強直などが見られることもあります。
最近の猫ブームで猫の飼育頭数は増えていますし、全体的に長生きするようになってきました。せっかくなら愛猫に痛みなく快適に生活させてやりたいですね。新しい薬の開発にもぜひ期待したいですが、まず、体重管理をしっかりして関節に負担をかけないようにしていきましょう。痛みが出てくる場合には一度ご相談ください。
M.M.