うさぎはその尿の性質において犬・猫とは大きく異なります。うさぎは血中のカルシウムの濃度が高く、カルシウム代謝は腎臓で行われ、尿中にカルシウムが含有されるため尿は白濁します。またうさぎの尿はアルカリ尿が正常であり、カルシウム結晶がつくられやすく、常に尿の色調は黄色白濁~やや濁った茶褐色となります。この高い血中カルシウム濃度と特殊なカルシウム代謝経路により「泌尿器の結石」の生成率が比較的高いといわれています。
確定診断にはX線検査や超音波検査などの画像診断が有効で、血液検査・生化学検査によって腎機能の評価を併せて行うことで今後の治療方針の決定につながります。ストラバイトを主成分とする犬・猫の結石とは成分が異なるため、溶解させることは非常に困難なケースが多く、結石の位置や大きさにもよりますが、基本的に可能であれば外科的摘出がもっともよい治療法とされています。
また、尿中のカルシウム結晶はスラッジとよばれる泥状~砂利状の沈殿物を膀胱などに形成することがあり、このスラッジにより尿道閉塞や血尿を伴う慢性膀胱炎を呈することもあります。尿道カテーテルの挿入により膀胱洗浄を行うことが推奨されますが、1回の洗浄で完治することは少なく、外部からの膀胱内感染のリスクに注意しながら複数回の洗浄を必要とするケースも多いです。日常の食餌管理も重要です。灰分〇%以上といった表示があるようなカルシウム含有量の多いラビットフードは避けるべきで、チモシー牧草、チモシーペレットを中心にして、生野菜の給餌も方法の一つです。また泌尿器に対するサプリメントも症状改善の一助となる場合もあります。
結石やスラッジが膀胱の出口や尿道を閉塞した症例では排尿困難や努力性排尿、肉眼的血尿がみられることがありますが、それらの症状がみられなくても、著しい疼痛による食欲低下や元気消失などの症状や、トイレ以外での排尿や尿による陰部の汚れなどの問題も結石症例ではみられることがあるので、異変を感じられた場合はぜひご相談ください。
H.B.