南が丘動物通信

2016年 猫の甲状腺機能亢進症の摘出手術。 17年01月31日

1995年より多数の猫の甲状腺機能亢進症の甲状腺摘出手術を行っていますが2016年はすこし多かったようです。甲状腺の手術で難しいのは、甲状腺にくっついている上皮小体にダメージを与えずに摘出することです。上皮小体は本来甲状腺の頭側にあるのが一般的だと言われておりますが、近年、尾側にずれた症例がふえてきており手術の難易度の高い症例が増えてきております。2月の兵庫県開業獣医師会研究臨床研究会で発表いたします。上皮小体にダメージを与えると低カルシウム血症になり命にかかわることがありますが今まで1頭も異常を起こした症例は幸いなことにありません。猫は、病気を隠すと言われていますがその最たるものは甲状腺機能亢進症ではないかと思っています。多くの症例で食欲が増進し、活発になる子が多いため、とっても元気と思ってしまう方も多いようです。9歳以上の猫の約10%が罹患しているといわれています。2016年に手術を行った猫の年齢は、若い猫で8歳、高齢の猫で16歳 平均で13歳、最も多かった年齢は14歳でした。8歳で手術をした子は両側摘出しました。ご家族の方は立派!!!よくぞ来院してくれました。甲状腺機能亢進症は腎臓病、肝臓病、心臓病、高血圧などその他たくさんの病気をひきおこします。多くの猫で、慢性の腎不全になっており、早期発見が重要です。内科療法は大事ですがあくまでも手術にもっていくまでの期間の治療と考えていただくほうが良いと思います。手術で完治できれば、その後の治療も必要ありませんし、治療費もトータルでは安くなりますよ。

さて甲状腺機能亢進症を簡単に発見できる方法は、体重の減少と尿検査、聴診です。元気なのに痩せてきたら疑ってください。猫を診察に連れていくのがいやでも尿だけでも病院に持っていってください。尿比重が低ければあやしいです。心拍数が増えていればさらにあやしい。とこんな具合です。

英国の猫の専門医さんの言葉です。「猫の飼い主の99%以上の方がうちの子元気と思っている。でも実際は病気に気が付いていないだけ!」

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S.S