猫ちゃんの外耳道疾患の代表的な原因の一つでもあるミミヒゼンダニは1997年の調査で日本で飼育されているフェレットの60%で感染が見られたという報告があります。
フェレットに感染するミミヒゼンダニのOtodectes属に位置するヒゼンダニは、同じヒゼンダニ類のSarcoptes属などの疥癬虫が皮膚に穿孔してトンネルを作るのに対して、穿孔せずに皮膚小片や組織液を栄養源とするタイプのヒゼンダニです。
ヒゼンダニの卵は3~4日で孵化し、2~3週間で成ダニへと成長します。その寿命は2か月ほどで、耳垢内やその周囲に生息しており、フェレットが頭を振ることによって剥がれた耳垢の接触にってほかのフェレットへと伝播していきます。
症状が激しい場合は頭を振ったり後肢で掻くような行為が見られ、外字の黒色耳垢、びらん、肥厚等が見られますが、
実際に痒みの症状がみられるのは全体の7%程度という報告があり、たとえ感染していても飼い主が気付かないことがよくあります。このことから耳疥癬症の痒みは疥癬虫同様にその死骸や糞に対してのアレルギーの有無が痒みに個体差がある原因と考えられています。
診断は特徴的な黒色耳垢を顕微鏡下で確認することによって診断しますが、実際に虫や卵が取れないこともあり、確認が取れない場合でも疑わしい時には治療をしていくのが一般的です。
治療としてはイベルメクチンの1週間間隔1~3回の経口投与のほか、皮下注射および外耳道への局所投与の有効性と安全性が報告されています。また、犬猫のノミダニの薬であるセラメクチンもヒゼンダニの駆虫に有効と報告があります。
ただし、ヒゼンダニは先ほどの通り、日本のフェレットの60%で感染が見られているという報告から、同居のフェレットがいる場合には症状がなくとも感染している可能性は高く、再発を予防するために一緒に駆虫してあげておくべきです。
S.A