南が丘動物通信

犬の尿道脱 16年11月27日

尿道脱とは、尿道粘膜が陰茎の先端を超えて突出した状態のことです。過剰な性的興奮やマスターベーション後に生じたり、泌尿生殖器の感染に伴い発生することがあります。発生が最も多いのは若齢のイングリッシュ・ブルドックですが、ボストンテリアやヨークシャー・テリアでも報告があります。それほど多い病気ではないですが、陰茎の先端に赤い突起物がある、出血しているとの主訴で来院されることが多いです。尿道粘膜が反転して出てきてしまっているので乾燥しますし、犬が舐めることにより尿道粘膜を傷つけて尿道が壊死する場合もあります。間欠的または慢性の出血を起こしている犬では貧血が見られることがあります。鑑別診断としては、包皮から出血を起こす他の要因(尿道炎、陰茎骨の骨折、尿道結石、包皮・陰茎・尿道の腫瘍)がないかを診ていきます。

内科的療法としては感染のコントロールを行い、尿道粘膜が壊死していなければ滅菌綿棒でやさしく押し戻します。脱出の再発を防ぐために尿道開口部周囲の陰茎を、尿路を閉鎖しない程度に巾着縫合する場合もあります。

外科的療法は、脱出した尿道を切除する方法が通常の選択肢となります。脱出を整復した後にマットレス縫合で尿道内腔を陰茎の外側にいくつか止めておくと線維化を促して再発を防止するとも言われています。勃起や性的興奮に伴い脱出が生じる犬では、去勢手術も再発防止になります。

先日はトイ・プードルが尿道脱で来院されました。この子もマスターベーション後の尿道脱でした。内科的療法で再発しないかを経過を見ています。

M.M.

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