2016年9月25日~27日に東京で開催されたJBVPに参加してきました。多くの先生方、獣医師、看護師、学生の参加する活気ある大会で、興味深いお話がいくつもありました。
犬の胆泥症および胆嚢粘液瘤の疑いのある症例に対してどういう治療をしていくかというテーマに対して、東京大学の大野先生、宮崎大学の鳥巣先生をコメンテーターとして迎えたディスカッションが特に面白かったです。
胆泥は、エコー検査をすると犬ではよくみられます。大野先生は、胆泥は可動性の胆泥と非可動性の胆泥に分けられ、非可動性の胆泥は細菌感染や胆嚢炎を起こしている可能性があるとおっしゃっていました。基本的に胆泥症だけでは肝酵素値の上昇は認められず、肝酵素値が上昇しているということは何らかの肝実質の異常があるということになります。胆嚢疾患で怖いのは胆嚢破裂が起こるということですが、胆嚢破裂のリスクとエコー画像における派手さとは相関がないようです。どの段階で胆嚢摘出に踏み切るかというのが一番の論点になったのですが、鳥巣先生は、今ではあまり積極的に摘出は行っていないとのことでした。エコー上で明らかなキウイフルーツ状であっても破裂するしないは分からないし、術後に肝酵素値が上がってしまう症例も少なくないからだそうです。胆嚢粘液瘤で、肝酵素値の上昇が認められる症例に対しては、異常が起きたらすぐに連れてきてもらうようにしているとのことでした。
摘出しない場合は基本的にはウルソ酸と抗菌薬の投与、エリスロマイシンに関しては効果のある症例もあればない場合もあり、統計的にも有意差は出ていないそうです。食事療法に関しては低脂肪食ですが、最近は低炭水化物も効果があるのではと言われているそうです。
M.M.