人医学でがん治療、美容領域で注目されている高濃度ビタミンC点滴療法は、近年獣医療でも導入されてきています。高濃度のビタミンCは生体内に入ると過酸化水素と酸素に分解されます。正常な細胞はカタラーゼという酵素を持っているので過酸化水素を酸素と水に分解することが出来るのですが、がん細胞はカタラーゼを持たない(あるいは少ない)ため過酸化水素によりDNA障害を受けたり呼吸系やエネルギー産生系に異常が起き、選択的にがん細胞を殺すことができるというものです。詳細な機序に関しては未解明な点もありますが、現在大学などで研究が進められています。
高濃度ビタミンC療法の一番のメリットはがん細胞を選択的に殺すため、従来の抗がん剤治療よりも副作用が小さいことです。ある論文では末期進行がんの患者に高濃度ビタミンC点滴療法を行ったものと行わなかったものとを比べると生存期間が4.2~6倍延長したという報告もあります。大学などで効果が出たと報告があったがんは、肺がん、大腸がん、膵臓がん、肝臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、脳腫瘍などなどで、全身転移があったものでも高濃度ビタミンC点滴療法をしてから転移巣が消えたなどの報告もあります。
また、高濃度ビタミンC点滴療法を続けていくことで60%の方が食欲不振や疲労感、痛みなどが良くなったと答えられています。
獣医領域ではまだこうしたデータはありませんが、新たながん治療法として注目されています。もし、何かできることがあればとお考えであればぜひ検討してみてください。
M.M.