特別講演「泌尿器腫瘍におけるInterventional oncology」
Chick Weisse先生 ACVS専門医 NY州NY市アニマル・メディカル・センター
インターベンショナル・ラジオロジー(IR:Interventional Radiology)は透視装置や超音波装置など現在の画像技術を用いて血管やその他の構造物に選択的にアクセスし、治療目的で様々な物質を送達する手技です。獣医療におけるIR手技の研究や臨床応用は、特に尿路を中心に広がりを見せています。午前中の講演では順行性尿道カテーテル挿入法、経皮的膀胱瘻チューブ設置術、腫瘍性閉塞性病変に対する緩和的尿道ステント術などについて、各症例の写真や透視撮影した動画を用いて、尿路を確保するためにどのような手技でIRを実施したかを具体的に説明いただきました。午後の講演では、動脈内注入化学療法についてお話いただきました。化学療法剤の全身投与量を腫瘍の栄養動脈内に最小侵襲的に直接投与すれば、腫瘍内薬剤濃度が上昇して抗腫瘍効果が高まると考えられます。泌尿生殖器系の代表的な悪性腫瘍である移行上皮癌や前立腺癌では、現在化学療法や放射線療法、そして外科的減容積術が行われておりますが、いずれも確実な持続的奏功を得ることが難しく、より効果的で低侵襲な局所腫瘍管理法が求められております。今回講義いただいたIRを用いた手技をそうした局所腫瘍管理法の選択肢のひとつとして日々の診察に活かせるように考えてゆきたいと思います。
H.B.