JAHAの国際セミナー Dr.Sarah Caney(Vet Professional Ltd)
高齢猫の最適ケアを目指しての副題のついたセミナーです。日本も現在猫ブームと言われて犬より猫を飼う人がふえているようです。11歳以上の高齢猫は3分の1以上が病気を抱えています。ただ、多くの疾患は無症候性の中で進み発見が遅れることが多いのが特徴です。猫は病気を見せないようにしている動物なのです。
甲状腺機能亢進症、慢性腎不全、高血圧症が代表的なものです。このような疾患は検査によって早期発見が可能で、そのことにより、生活の質が維持され、長生きさせることができます。健康診断こそがもっとも必要なことなのです。
7歳以上はすくなくとも1年に1回の健康診断、血液検査、尿検査、血圧検査
11歳以上はすくなくとも半年に1回の健康診断、血液検査、尿検査、血圧検査、甲状腺ホルモンの測定
15歳以上は3ヵ月に1回の健康診断、すくなくとも半年に1回の血液検査、尿検査、血圧検査、甲状腺ホルモンの測定 が推奨されます。
また、15歳以上では認知症、慢性関節疾患も多く認められるそうです。
当院でも高齢猫は慢性腎不全の子たちがいつも沢山通っていただいています。もし早期発見できていたらこんなに大変にならなかったのに、増悪期に早く気付いて進行せずに済んだのに、もっと楽に長生きできたのにという症例が多くいます。
また毎年沢山の猫たちが甲状腺機能亢進症になり手術を受けていただいております。ただ発見が遅かったために後遺症とお付き合いしていかなければならない場合もあります。
高血圧の猫ちゃんでは眼底出血で失明して連れてこられる子が毎年数頭います。高血圧は眼では眼底出血、網膜剥離、中枢神経では脳浮腫、痙攣、心臓では心肥大、左心不全、弁膜症、腎臓では慢性腎疾患の悪化、蛋白尿を起こします。
尿検査、血圧の評価の仕方を詳しく教わりました。またサイレント甲状腺機能亢進症の話題は興味深く聞きました。高齢猫の飼い主さんに健康診断の重要性を訴えていきたいと思いました。
S.S