この病気はフォン・ヴィレブランド因子と呼ばれる血液凝固因子の異常や減少によって起きる血液凝固不全です。この因子は血管の内皮で産生される蛋白で血小板を創傷部に接着させる働きがあり、創傷部で働く凝固因子であるため多くの場合止血系のスクリーニング検査で検出できません。遺伝病であり、ドーベルマン・ピンシャー、ジャーマン・シェパード、プードル、ゴールデン・レトリバー、シェットランド・シープドッグに多いといわれています。症状は出血時間の延長ですが、自発性の出血をするケースは多くなく、歯の生え変わりや発情出血がなかなか止まらないことでわかる場合があります。手術中も出血が止まりにくくなり、局所止血剤や輸血の準備、酢酸デスモプレッシンの前投与などの対策をします。当院では術前に血液凝固機能検査の説明もさせていただいていますが、前で書いたとおり検出できない可能性があります。今までの生活で過剰に出血したような記憶がおありでしたら教えていただけるとより安全な獣医療が提供できるかと思います。K.Y