中部小動物臨床研究会
色々な発表を見せていただき、勉強になりました。その中でも印象的なものを紹介したいと思います。
犬の重度(僧房弁閉鎖不全症:MR)切除僧帽弁の臨床病理像 金井孝夫先生
通常のMRでの僧房弁の形態的変化では弁膜の肥厚は認められず、腱索が伸長し弁膜が心房内へ入り込む所見を持つが、今回見られた症例では弁膜の肥厚と粘液偏性を起こしているという特徴が見られ、ヒトのバーロー症候群と呼ばれる病態に酷似していることがわかった。エコー上では通常のMRとの鑑別は難しく、肉眼での判断も難しいため病理組織検査に出すことが確定診断に必要となるが、更なる検査で後発犬種等が認められるようになれば、MRに対する治療方針やグレードの判定もまた今までと違ってくるのではないかということが示唆され、MRに関して改めて考えさせられるような発表でした。
当センターに来院した難治性潰瘍性角膜炎の原因に関する回顧的調査 岡本有一先生
角膜炎は通常の診察でもよく見られる眼科疾患の一つです。それが治療に反応しにくい原因として犬と猫とでは原因となることが異なり、犬では難治性の角膜炎のうち47.3%がドライアイ、18.9%がSCCEDs、重度の細菌感染が17.6%と続くのに対し、猫では70.6%がヘルペスウイルスによるものが最も多く、次いで細菌感染が23.5%と大きく異なっていました。潰瘍までいかないような角膜炎でも以上の原因により治療が困難になってしまうことから、基本的な細菌感染の有無や涙量の確認が普段の診察から重要であると改めて感じました。
S.A