南が丘動物通信

口蓋裂 15年09月13日

 口蓋裂とは硬口蓋と軟口蓋の不完全な閉鎖であり、多くは先天的なものです。

 猫よりは犬に多く、ブルドック、ペキニーズ、ボストンテリアなどの短頭種に多いです。十分な哺乳ができないとすぐに死んでしまいますが、そうでなくても食物や唾液などで汚染したり誤嚥したりします。そのため鼻汁、発咳、成長不良、鼻炎や誤嚥性肺炎などを引き起こします。

 手術に耐えられるまでは誤嚥などに注意します。手術はタイミングが早いと再裂開や骨の変形が起こるために、できるだけ56カ月齢までは待ちます。猫ではランゲンベック法、犬ではサンドイッチ法が優れているようです。サンドイッチ法とは一側に粘膜骨膜弁を作成し、反対側の硬口蓋と粘膜骨膜のあいだに挿入してマットレス縫合するものです。しかし大きな欠損孔では複数回の手術が必要になることもあるために注意が必要です。

 術後は軟らかい食事を与え、硬いもので遊ばせないようにします。最も多い術後の合併症は手術部の裂開ですが、修復できた動物は予後良好です。またこの疾患は遺伝性疾患なので、罹患動物は繁殖させないようにしなければなりません。

T.S.