南が丘動物通信

網膜剥離 15年07月19日

網膜とは光を受ける細胞が存在し、視覚を保つために重要な組織です。暗所での視覚に関連する桿体細胞、明所での視覚に関連する錐体細胞などが存在します。網膜は10の細胞層が重なって構成されており、そのどこかの層が剥がれることで網膜剥離を生じ、視覚障害となってしまいます。

急性に盲目となることが多く、なにか他の病気に伴って生じることが多くなっています。原因として多いのは、高齢猫で見られる腎不全の合併症です。腎不全では全身性の高血圧になる事が多く、高血圧によって網膜剥離になります。血圧のコントロールと腎不全の管理によって視覚が戻る事も多いです。他には炎症性疾患に伴うものや頭を強く振ることでもなってしまいます。

網膜剥離眼の眼底は、はっきりと見えずに濁って膜状に見え、これが剥離した網膜です。眼科超音波検査でも剥離した網膜が、カモメが飛んでいるような画像として得られます。

治療法は原因疾患の治療は基本であり、血圧管理や眼圧降下剤、ステロイドなどを使用します。レーザー網膜光凝固術では浮いた網膜を凝固によってノリづけしていくような治療法です。

もちろん網膜剥離以外にも視覚障害をきたす病気はたくさんありますので、眼が見えていないのかなと思われるときがございましたらご相談ください。

T.S.