様々な全身性疾患や、薬物の投薬によって、甲状腺機能が低下している状態を偽甲状腺機能低下症(Euthyroid sick syndrome)といいます。甲状腺ホルモンの低下だけではなく、末梢でのT4代謝なども低下するため、甲状腺機能低下症と非常に類似した症状を示します。真の甲状腺機能低下症との鑑別が困難であるため、慎重に診断を行う必要があり、fT4の測定やTSHの測定は併発疾患の影響を受けにくいため、鑑別診断に有用とされています。
病因は、基礎疾患がある際に甲状腺ホルモンの分泌を減らし代謝を落として体を休ませるという生理的な反応によるものと考えられています。
通常、この疾病に対しては甲状腺ホルモンの補充を行う必要がなく、基礎疾患の治療や薬物に投与中止により改善されることが多いとされています。また、この疾病に対し甲状腺ホルモンの補充を行うことは有害となることが多いので気を付けなければなりません。
D.T