南が丘動物通信

6月26日 葉月会外科セミナー  原 康先生 15年06月26日

下垂体依存性副腎皮質機能亢進症の治療と管理

日本獣医生命科学大学 獣医外科学研究室 教授  原 康先生

今回は副腎皮質機能亢進症に関するセミナーでした。副腎皮質機能亢進症の8085%が下垂体依存性、1520%が副腎皮質腫瘍、まれに異所性ACTH産生性内分泌腫瘍があります。下垂体依存性の場合は腺腫であることが多いですが3%は腺癌だそうです。しかし、腺腫であっても腫瘍が大きくなっていくと発作、ふらつき、視覚障害、性格の変化などの脳症状が現れることがあり、その場合予後は悪いです。下垂体性副腎皮質機能亢進症の根治的治療は外科的切除だけです(巨大腺腫では取りきれないことはありますが)。下垂体腫瘍に関して大きさを評価するにはMRIが必須です。今回のセミナーでは下垂体腫瘍の外科的切除の手法などのビデオを見せていただきました。どこでもできる手術ではないですが、手術手技、術後管理を正確に行えばそれほど危険な手術ではないとおっしゃっていました。特に若齢のうちに発症した場合には、再発することもありますが完治を望める外科手術はもっと適応されてよいと思いました。

M.M.