南が丘動物通信

ハムスターの食生活 15年03月29日

現在ハムスター用に市販されている一般的な飼料は穀類粉とその副産物・大豆粕・アルアルファ・魚粉・酵母などを主成分とした固形フード、穀類の種子や粗びきの穀類、種実類、乾燥青果類が組み合わされたものあるいは単体のものです。こうした飼料は通常粗蛋白10~20%前後、粗脂肪3~10%、粗繊維3~10%という栄養組成値が示され、ビタミン・ミネラルを豊富に含んでいると記載されているものが多いです。ハムスターの飼育書ではこれらを完全栄養食として推奨しているが、品質の保証される有効期限や各栄養素の含有量の記載のないものが多く、カロリー摂取には十分であるが栄養価値を客観的に判断することはできません。油脂を使用しているドックフードタイプの固形飼料やフライ加工された乾燥果実製品では脂肪の酸化の問題やタンパク質の変性なども考えなければなりません。なので可能ならば飼料は製造年月日の記載のあるものを選んでください。また、今日ではヒマワリの種を食べていないハムスターはいないくらい常用食と認識されていますが、種実の過剰摂取は著しい高脂肪摂取を引き起こします。自然界でげっし類はナラ、カシなどのブナ科樹木の木の実を食べますが、これらは脂肪分は2%程度です。一方で家庭で与えられているヒマワリ、クルミ、ピーナッツ、アーモンド、ココナッツなどは55~65%が脂肪分でかなりの高脂肪食です。これらの種実は嗜好性が高く他の飼料と混ぜて与えても先に種実を食べてしまいます。こういった食生活では脂肪過多、脂肪肝を引き起こします。脂肪肝は外観では判断しにくいものですが、ヒマワリの多給を受けている個体は若齢で腹水貯留が認められることがあり、その原因は肝硬変がほとんどです。これは脂肪肝との関連が予想されます。ハムスターがヒマワリの種を食べている様子はかわいいですが、肥満・肝臓障害がハムスターの寿命を縮めているので種実の給与はできるだけ控えましょう。  
M.M.