南が丘動物通信

細菌性心内膜炎 15年01月18日

 心臓にも感染症は起こり、心内膜組織に発生し特に犬猫では僧帽弁と大動脈弁に多く見られます。ぶどう球菌や連鎖球菌などが多く近年ではバルトネラも報告されており、大腸菌はそれほど多くないと言われています。猫では稀で、犬でも多くはないですがジャーマンシェパードとボクサーはリスクが高いです。細菌の侵入経路はハッキリしないことが多いですが、前立腺炎、腎盂腎炎など他の臓器の感染に起因したり、歯周病が原因となり口腔内細菌が侵入して成立することもあります。また心臓の先天的奇形や、弁膜疾患との関連も指摘されています。
 心臓の弁に疣贅が形成され、弁の変形や破壊を引き起こしやがて弁は機能しなくなります。それによりうっ血性心不全が急速に進行することもあります。罹患すると元気食欲の低下、再発性の発熱(不明熱の原因となる)、失神などがみられます。心雑音がほとんどの患者で聴取され、新たに発見された場合はこの病気を考えます。また獣医領域では拡張期の心雑音は稀ですが、聴取された場合は大動脈弁の心内膜炎も疑われます。
  心エコーでの疣贅形成、症状、治療への反応などから診断されます。 血液培養では患者の60_80%で細菌が検出されるとのことですが、確定診断を行うのは困難と言われています。 併発症として腎臓(梗塞、膿瘍、糸球体腎炎)に障害を及ぼしたり、血栓症のリスクも高いです。
治療は抗生物質の投与を長期間(6週間以上)続け、心不全や不整脈への対処、血栓症やDICが疑われる場合には抗血栓療法などを行います。
 前述しましたが近年では歯周病からの続発症としてこの病気も注目されています。日頃からのデンタルケアはこの病気の予防にもなります。デンタルケアも含めまして気になることがあればご質問ください。
T.S.