南が丘動物通信

犬の膝蓋骨内方脱臼 14年10月05日

 膝蓋骨脱臼には、膝の曲げ伸ばしを円滑に行うのに必要な膝蓋骨という骨が、大腿骨上から完全に内側に外れてしまうことを内方脱臼、外側に外れてしまうことを外方脱臼と言います。  犬では、圧倒的に内方脱臼が多いです。膝蓋骨の脱臼の75~85%が内方脱臼であるとのことです。また両側の内方脱臼は、20~25%で認められます。原因は、外傷性と先天性があります。
 先天な原因としては、①膝蓋骨が乗っている大腿骨や、膝関節を形成するもう一つの骨である脛骨の変形や、②膝蓋骨についてる筋肉の内方への変位 ③膝関節の回転方向の不安定性 などがあります。また早期に内方脱臼がおこると膝蓋骨を納め外れないようにする大腿骨の溝である滑車溝が平らになり脱臼を悪化します。
 膝蓋骨内方脱臼では、状態に応じて4つに分類されます。
 治療は外科手術ですが、全ての症例に推奨されるわけではありません。臨床症状や犬種、年齢、体重 併発症で判断されます。
 臨床症状が軽い、4つの分類の一番軽度な症例では、必ずしも推奨されません。オーナーが気づかない症例も多いです。
 大型犬や、体重が重い犬、若い犬、足を拳上してしまう犬、膝関節には前十字靭帯など大切な靭帯があるのですが、そういった靭帯を痛めてしまう犬では、外科的手術が推奨されます。
 また遊んでて急激に脱臼が起こってしまった場合、痛みを訴えることも多いです。
 当院では、身体検査で膝の脱臼が認められた場合は飼い主様にお話しするようにしております。
 普段元気に走り回っているこど時々後ろ足をあげるといったことがあれば、ぜひご相談ください。
                                                   M.N