南が丘動物通信

アミロイド産生性歯原性腫瘍 14年04月27日

アミロイド産生性歯原性腫瘍とは、口腔内に発生する良性腫瘍です。好発犬種は、シーズーであり、そのほとんどが上顎の頬骨付近に発生します。病理学的に良性腫瘍であるため、遠隔転移の心配はありませんが、本腫瘍は局所浸潤性が強いのでQOLを著しく低下させ、死に至らせる可能性があるため、良性であっても決してあなどれないものです。第一選択の治療としては、生存期間延長及びQOL向上を目的とした顎骨を含めた外科的に切除することですが、動物ということで飼い主さんがどうしても発見することに遅れ、発見し動物病院を受診した際には取り切ることが困難なほど拡大し、また好発する解剖学的位置関係が問題で根治を狙った手術をすることが難しくなってしまうケースが多いようです。そういった場合でも腫瘤の容積を出来る限り減少させ、放射線療法を組み合わせる等の治療が考慮されますが、ただ腫瘍細胞を完全に0にすることは出来ないのでやはり再発のリスクは免れられません。本コラムを読まれた方で、かつ高齢のシーズーを飼われている方は一度口の中を観察してあげて何か出来物ができていないかチェックしてあげて下さい。
付け加えて、臨床症状として顔貌変形、口腔内出血、食欲不振、体重減少、黒色タール状便などが認められたら,口腔内腫瘍の可能性が高いので一度動物病院へ受診されることをお勧めします。
D.T