ドライアイは犬によく見られ、涙液減少による角結膜炎を引き起こし、粘性眼脂の付着や結膜充血が主な症状として見られる疾患です。角膜表面が常に乾燥しているため、角膜に傷をつけやすいのが最も懸念される問題点です。
原因は涙腺に対して自己免疫が働いてしまう免疫介在性が最も多く、他に先天性、感染性(ジステンパーウイルスなど)、外傷性、薬剤性(アトロピン、サルファ剤など)、内分泌性、瞬膜腺切除後によるものなどがあります。好発犬種はシーズー、キャバリア、コッカースパニエル、シュナウザーなどですが、どの犬種でも発生はみられます。
診断は涙液のうち油層と水分層の評価ができるシルマーティアテストや、ムチン層の評価ができるローズベンガルテストなど、涙液の定量試験により行います。また角膜の傷があるかどうかをフルオレセイン染色でチェックすることも重要です。
治療としては涙腺に対する免疫反応を軽減させるため、シクロスポリン眼軟膏やタクロリムスなどの免疫抑制剤を使用します。また感染も併発しているため抗生物質や、涙液補充のための人工涙液の点眼なども併用します。ピロカルピンなどのコリン作動薬は涙腺刺激の作用も持ち、経口投与します。一般的ではありませんが、耳下腺管転移術という手術法もあります。
眼に傷がついてからドライアイを疑う症例が多いのですが、ドライアイではその傷が治りにくく大変苦労します。眼ヤニが多い、眼が赤いなど、気になることがございましたご相談ください。
S.T