ポメラニアンに多く認められ、頭部・四肢端以外の非炎症性の両側対称性脱毛症を脱毛症Xと言います。ホルモンレセプターの異常などが原因として考えられてはいますが。はっきりした原因は不明です。ポメラニアンの他に、サモエド、ハスキーなどの北方犬種に多くみられます。初発では頸部や大腿部のアンダーコートのみが脱毛しますが、次第に体幹全体が脱毛し、色素沈着も生じます。頭部と四肢端の毛は残り、また傷を負った部位では毛が再生するというのも特徴的です。
皮膚症状は特徴的なのですが、副腎皮質機能亢進症や甲状腺機能低下症の除外も重要です。毛包は委縮し休止期になっています。
3歳未満の未去勢雄に多く、性ホルモンの関与も考えられていることから避妊・去勢手術が治療法のひとつになります。またトリロスタンという副腎皮質ホルモン合成阻害薬も有効です。投薬量を減少することはできても、中止すると再び脱毛するのが普通なため、生涯にわたる治療が必要なことが一般的です。しかし継続しても効果のみられない症例もあります。