南が丘動物通信

不安障害 12年11月13日

 未知、あるいは想像上の原因から将来の危険を予想して、恐怖に関連した身体的反応を示すことを不安といいます。不安は特定の状況で一般化したり、あらゆる事柄に対して生じたりします。多くの場合は与えられた環境に対する正常な適応反応なのですが、動物が脅威から逃れられなく極度の場合、動物の健康と寿命にとって有害な慢性ストレスとなってしまいます。
 分かりやすいものでは、飼い主と離れると現れる分離不安や、音(雷や花火)に対する恐怖症などです。きっかけとなる刺激に対して過去に悪い経験があることや、幼少期の社会化時期に様々な刺激への経験が乏しい場合は、極度な怖がりになるといわれています。
 頻脈、視床下部・下垂体・副腎軸の変化、食欲不振、胃腸障害、自傷などの身体的影響が現れ、破壊行動もよくみられます。かわいそうなことに攻撃行動を示すこともあり、凶暴な動物と勘違いされることもあります。行動異常を伴う疾患、例えば脳疾患や代謝性疾患などとの鑑別が重要です。
 治療に際しては、まずは行動療法から開始し、顕著でない場合や不安が非常に激しい場合には薬物療法も併用します。基本的な注意事項ですが、薬物療法は効果が現れるまでに4~8週間かかること、薬物療法だけでは意味がなく必ず行動療法も併用しなくてはいけません。また動物がケガしないような安全対策も必要です。