南が丘動物通信

皮膚食物有害反応(食物アレルギー性皮膚炎) 12年08月21日

皮膚食物有害反応の病変は足先、わき、腹部、耳介に現れることが多く、アトピー性皮膚炎と非常によく似た症状を示します。その他、病変を伴わないかゆみ、外耳炎、再発性細菌性毛包炎、脂漏症、蕁麻疹などが見られることもあります。皮膚食物有害反応とアトピー性皮膚炎は、症状が似ているだけでなく病態も共通しており、食物過敏症が関わるアトピー性皮膚炎を食物誘発性アトピー性皮膚炎と呼びます。
皮膚食物有害反応の犬を調査したところ、アレルゲンとして多くみられたのは牛肉、乳製品、小麦で、次いでラム肉、鶏卵、鶏肉、大豆であったという報告があります。
食物過敏症による皮膚炎なのか、さらに何の食物がアレルゲンなのかを確定するには除去食試験と食物誘発試験を行う必要があります。除去食試験では、これまでに食べたことのある全てのタンパク質源をピックアップし、その中に含まれていない新奇のタンパク質を一種類だけ含む食事を最低8週間与えます。この際タンパク質源として加水分解タンパク質の食事という選択肢もあります。食物アレルゲンは一般に1万~7万ダルトンの大型糖タンパク質であり、これをアミノ酸と小型ペプチドに分解することによって免疫原性を抑えたのが加水分解タンパク質です。どちらの食事を選ぶにしても、除去食試験において大切なことは、他の食べ物を一切与えないことです。
この試験中に症状の改善が見られ、元の食事を与える誘発試験において1週間以内に悪化が見られたら、食物有害反応であることが確定します。
期間が長く厳格な食事管理が必要な試験ではありますが、一度アレルゲンが分かれば、それまで繰り返していた皮膚症状から少なくとも部分的に、あるいは大幅に解放してあげることができます。