南が丘動物通信

BCAA製剤 12年07月24日

 病院内の検査で肝炎の数値が高値を示すことがありますが、これはすなわち肝臓の傷害を表すもので、肝臓の機能の低下を表すわけではありません。肝臓の機能低下を知るためにはTP、ALB、BUN、T-CHOL、アンモニア、TBA(総胆汁酸)などがスクリーニング検査としてありますが、血中アミノ酸インバランスを調べることで肝機能の指標となるだけでなく、肝性脳症への治療の一助にもなります。血中アミノ酸インバランスとはBCAA(分岐鎖アミノ酸:バリン、ロイシン、イソロイシン)と、AAA(芳香族アミノ酸:チロシン、フェニルアラニン)を測定することで、肝機能低下時にはBCAAが低値、AAAが高値となります。肝機能が低下すると、肝で代謝されるはずのAAAが蓄積し、同時に肝機能低下によって増加したアンモニアを代謝するために筋肉でBCAAが消費されるためにこのような不均衡が生じます。現在は簡易化したBTR(BCAAと、AAAのうちのチロシンの比)という測定法が確立され、簡単に検査することができます。
 アミノ酸製剤を与えることで、タンパク質代謝の改善、アンモニア代謝の促進、肝性脳症の改善が得られます。経口のアミノ酸製剤であるBCAA製剤が様々な商品として販売されており、良質なタンパク源として重要な意味を持っています。またBCAAが十分でも亜鉛が不足しているとアンモニアが代謝できないともいわれ、BCAA製剤には亜鉛製剤も併用することが良いとも言われています。