精巣は胎生期に腹腔内で発生し、通常犬では生後30日、猫では生後20日頃に陰嚢内に下降します。潜在精巣とは、精巣の下降が不完全で、精巣が腹腔内または鼠径部に停留している状態です。犬は他の動物と比較して発生率が高く、遺伝性の疾患であることが知られています。
潜在精巣の犬では精巣の腫瘍、特にセルトリ細胞腫や精上皮腫の発生率が高く、高齢犬では10 %以上であるとも言われています。さらに、腹腔内に精巣が停留した動物に発生したセルトリ細胞腫においてはリンパ節や肝臓、肺等に転移する頻度も高いという報告があります。したがって潜在精巣であることが判明したら、早期に去勢手術で左右の精巣を摘出することが推奨されます。
精巣が陰嚢内に下降してきているかどうかは見た目や触診で簡単に分かるので、子犬を家に迎えたら注意して見てあげてください。