出血を止めるため、生体はさまざまな機構を持っています。出血が起こると、まず血小板がvon Willebrand因子を介して血管内皮細胞と結合し、そこに血小板同士が結合することで血小板凝集塊を形成します(一次止血)。続いてⅠ~ⅩⅢの12個の血液凝固因子(Ⅵはない)が連鎖的に働き、凝固蛋白質であるフィブリノゲンを活性化してフィブリンを作り、さらに止血を強固なものにします(二次止血)。二次止血は内因系と外因系の2つの機構があり、最終的に共通経路に入ってフィブリノゲンを活性化させます。
この二次止血機構はPT(プロトロンビン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)、フィブリノゲンを検査することでスクリーニング検査が可能です。PTは外因系と共通経路、APTTは内因系と共通経路を担当する凝固因子の欠乏を検査します。二次止血機構に異常があると手術中の出血が多量になることがあり手術のリスクが高くなります。そのため特に大量出血が予想される手術や、腫瘍性疾患などでは凝固異常が認められる場合があるために術前の検査が勧められます。
また凝固機能検査はDIC(播種性血管内凝固症候群)の検査にも有用です。DICとはなんらかの原因で全身の小血管内に微小血栓が形成され多臓器不全を呈し、死へと直結する状態です。悪性腫瘍、免疫介在性溶血性貧血、感染症、肝不全、急性膵炎など、さまざまな病気がDICの基礎疾患として挙げられます。
術前検査にしてもDICの検査にしても迅速な測定が求められます。当院では凝固機能検査を院内で行うことが可能です。