獣医師の皆様やフィラリア症でお悩みの飼い主様にとって、非常に興味のある記事が雑誌にでておりましたのでご紹介いたします。
犬糸状虫症とボルバキア菌という細菌の関係が最近話題になっています。
ボルバキア菌はグラム陰性細菌で犬糸状虫を含む糸状虫に感染し犬や猫で炎症を誘発していると言われ、治療においてボルバキア菌に対する抗菌薬治療が有用であるという知見がでてきています。
フィラリア症は蚊にかまれて肺動脈に感染する犬猫の代表的な病気であり、鬱血性心不全や大静脈症候群、肺高血圧、肺血栓症をおこし、犬糸状虫に対する免疫反応が腎臓病やアレルギー性肺炎を引き起こします。末期になるまで症状のでない犬猫もいるため予防が最も重要な病気でもあります。
犬糸状虫の症状や合併症がボルバキア菌の感染により炎症をさらに悪化させられている可能性があり、抗菌剤治療により犬猫では糸状虫の寄生や臨床徴候が軽減され、猫では突然死のリスクを低下させられるデータがあります。
ボルバキア症のテトラサイクリン、ドクシサイクリン、リファンピン、アジスロマイシンによる抗菌剤治療により宿主のミクロフィラリアが減少し、幼虫の成長が抑制され、雌の成虫の生殖能力が失われることがわかっております。
一般臨床の場で、ボルバキア抗原の検出ができるようになることや治療法の確立が期待されます。