南が丘動物通信

犬の膝蓋骨内方脱臼 10年05月04日

 膝蓋骨とは膝のお皿の骨のことで、膝蓋骨が体軸の内側に脱臼する膝蓋骨内方脱臼は、最も多く認められる後肢の整形外科的疾患のひとつです。特に小型犬、ミニチュア犬種に多く、大型犬になるにつれて外方脱臼が多くなりますが、大型犬においても内方脱臼の割合のほうが高いです。先天性、後天性(外傷性)に発生し、先天性膝蓋骨脱臼では出生時は脱臼を起こしていなくても、解剖学的異常は存在するためにその後に発生することがあります。症状は、肢を着くことができない(体重を乗せることができない)、疼痛などで、脱臼の程度や症状などによりグレード分類がなされています。グレード1では通常の運動では脱臼することはまれで、手によって脱臼させられるもの。グレード2は自発的に脱臼することがあるが疼痛を示すことはなく、ときおりスキップをするような跛行が見られるもの。グレード3では常に脱臼しているが手で戻せるもので、後肢の変形を伴うことがあるもの。グレード4では常に脱臼しており手で戻せず、後肢が重度に変形しているもの。治療法は疼痛を抑える内科的治療法と、手術による外科的治療法があります。グレード、症状、年齢、併発疾患の有無などにより外科的治療を選択するか決定します。明らかな跛行を示す犬や、前十字靭帯の断裂を伴う犬では手術が推奨されます。また体重の重い犬や肥満犬ではより負担がかかり注意が必要になります。肢を上げる、スキップをするように走るなどの症状が見られましたらご相談ください。