南が丘動物通信

FIP(猫伝染性腹膜炎) 09年11月25日

ウィルスに感染した猫に、腹膜炎をおこし腹水が貯留する症例があることから猫伝染性腹膜炎という名前がつけられました。
FIPは腹水や胸水のような液体が貯留するタイプを「ウェットタイプ」、腎臓・肝臓・眼・神経系などにとりつき液体がたまらないタイプを「ドライタイプ」と分けています。
原因はコロナウィルスの中の有害な株である伝染性腹膜炎ウィルスに感染することによって起こります。年齢は3歳以下の若い猫と10歳以上の猫に多く発症します。
症状は食欲不振、元気消失、脱水、発熱などがみられることが多くあります。
「ウェットタイプ」で腹水がたまるとお腹がはってきたり、胸水がたまると呼吸困難をおこしたりします。「ドライタイプ」は影響を受けた器官の症状、尿毒症・黄疸や肝不全・運動失調や痙攣などの脳・神経症状を示すことなどが起きます。
現在のところFIPの治療法は免疫療法やインターフェロン療法などもおこなわれていますが治療法は確立されておりません。対症療法がおもな治療法としておこなわれるのが一般的です。FIPは95%以上が致死的でほとんどが2ヶ月以内に死亡いたします。
しかし病状が軽いものでは生存期間の延長や寛解がおこる可能性もあります。
予防することが重要になりますが現在のところ日本ではまだワクチンは使用されておらず、海外のワクチンもその有効性にたいしては論議されています。現段階では感染させない、発症させないことを中心に考えていくことが一番の得策と考えられています。
抗体をもっている猫がすべて発症するわけではありません。単頭飼育されている場合ほかの抗体陽性猫に暴露されないかぎり陰転する可能性が期待できます。また発症率は多頭飼育されている場合に非常に高くなっています。飼い猫を外に出さない・多頭飼育する場合はかならず抗体を持っていないのを確認して飼育する・抗体陽性猫はできるだけ単頭飼育するなどを守ることにより予防されることがお勧めです。