南が丘動物通信

椎間板ヘルニア 08年12月03日

 椎間板ヘルニアは病変の部位によって異なりますが、前肢あるいは後肢またはその両方の運動失調を特徴とする病気です。特に軟骨異栄養性犬種といわれるダックスフンド、ウェルシュ・コーギー、シーズー、ペキニーズ、ビーグルなどによく起こります。
 症状は病態や障害の程度によって異なり、グレードが5段階に分けられています。頸部や背部の痛みのみの場合から深部痛覚を失う重度の麻痺まで様々です。
 診断は、神経学的な検査での異常所見とCTあるいはMRIによる精密な画像検査をあわせて行われます。特に、頸部の異常が疑われる場合や高齢犬、特定の犬種では脊椎あるいは脊髄の腫瘍、線維軟骨塞栓症などとの鑑別が必要になる場合があり、MRI撮影を行うほうが良いこともあります。軟骨異栄養性犬種の場合は数ヶ所に病変があることもあり、現在では正確な病変部位の特定にはCTやMRIによる診断が必須となっています。
治療は、障害の程度や進行速度に応じて、内科治療、外科治療及びその補助療法として、鍼などの理学療法が行われます。内科治療のみで治癒する場合、外科治療の併用が必要な場合など症例によって選択する治療法は様々です。手術による予後は、タイミングによって左右されると言っても過言ではないと思われます。グレード5になって長時間経過し外科治療が対象になりにくいものでも、鍼治療・理学療法で歩行が可能になる場合もあります。
グレード1では明らかな神経異常がみられず、「どこかおかしい」、「何か変」、といって連れてこられるケースがしばしばあります。そして、神経異常がみられ始めたら治療までにどれほどの時間が経過したかがその後の治療成績に影響するので、緊急の治療が必要になる事もあります。ダックスフンドなど軟骨異栄養性犬種を飼っておられる方は、なんらかの異常、違和感を感じたら早めに動物病院を受診されることをお勧めします。
いっきに進行した重症例の場合は緊急を要する場合もありますので早期に診療をうけてください。
ダックスフント、コーギーが増えた今、当院でも相当数の手術が日常的に行われています。
薬で様子をみるということで一生歩くことができなくならないよう対処が必要な疾患です。