南が丘動物通信

縫合糸肉芽腫 08年10月02日

手術の際に使用する縫合糸によっておきてくる組織反応です。
最近ダックスフントがふえることにより、問題がクローズアップされるようになってきました。ダックスフントに特に多く発症しますが、この犬種に限られたことではなく、他の品種でもでることがあります。
特に絹糸が問題になりやすいと言われておりますが、どのようなタイプの糸であっても、生体が異物として認識すればおきてしまうというやっかいなものです。肉芽腫の程度により、さまざまな症状を呈することがあり、肉芽を含む周囲の炎症、胃腸の炎症、消化管閉塞、背部や腹部における廔管の形成、皮下脂肪織炎、尿管閉塞など様々な症状をひきおこすことがあります。
治療は原因となっている糸の摘出と周囲のすべての肉芽組織を摘出することであり、副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤が必要になることもあります。手術による発生頻度を下げるために、できるだけ炎症をおこすことのすくない吸収糸を使用すること、超音波メスのような糸を使わなくてもシーリングできるような特殊な外科器具を使用することが望まれます。避妊手術後に起こることが多くご心配な方はご相談ください。