1月26日 葉月会主催で戸田先生による歯科学オンラインセミナーがありました。
今回は「不正咬合」についてです。
歯の噛み合わせはとても重要です。人においてはもちろん見栄えもありますが、犬・猫においては見栄えよりも実用性が重視されるため、噛み合わせが悪い場合は矯正が必要となります。
発育成長期の約6カ月齢で乳歯と永久歯の交換が行われ始めます。
その際に、乳歯を放っておくと永久歯が予期せぬ方向に伸びてしまい、その結果、不正咬合となります。
歯並びが悪い状態が続くと歯周病のリスクが上昇。さらには歯周病は全身疾患への悪影響が及ぶ可能性もあります。
歯科検診が重要であり、まだ乳歯が残存しているようであれば早めの抜歯が推奨されます。
定期的に口腔内をチェックすることで、残存乳歯だけでなく齲歯(虫歯)などの疾患を早期発見できる可能性があります。
小さな頃から口腔内を触って嫌がらないようにしておくことも大切ですね。
H.F
1月14日 JBVP Webセミナー 犬の糖尿病
石田卓夫 先生
今回は犬の糖尿病に関してのWebセミナーを受けました。糖尿病とはインスリンが欠乏している、 または、インスリンの効果が出ない状態で細胞内に糖が入って行かないことが問題となる疾患です。犬の糖尿病の多くは免疫介在性疾患で最終的に膵島萎縮に進行していきます。これにより、絶対的なインスリン欠乏に陥ります。よって、皮下注射や筋肉注射などにより体内にインスリンを入れてあげることで治療を行います。糖尿病の犬が適切な治療を行われなかった場合は糖尿病性ケトアシドーシスという病態に進行していきます。糖を細胞内に取り込めなくなった体は次に利用できるものとしてケトンという物質を作り出します。しかし、このケトンは血中のPHを酸性に傾けてしまい全身状態の悪化に繋がります。また、 長期の高血糖により膵臓のβ細胞機能を抑制し、2週以上の高血糖持続で組織学的異常、病理学的にはグリコーゲン沈着と細胞死を引き起こします。よって、少しでも早くインスリンによる血糖値のコントロールが必要になってきます。
糖尿病を治療する上で重要なのは「飼い主の報告」「病院での身体診察と体重測定」です。よいコントロール時には動物の活動性あり、多飲多尿なし、多食なし、低血糖症状なしの状態であり、病院での所見では身体診察所見正常、体重安定が挙げられます。そして、補足的なモニターとして「血糖値,尿糖」「糖化蛋白」があります。糖尿病の治療のゴールは血糖値を正常にすることではなく、また、糖化蛋白を基準範囲にすることではありません。もっとも大切なのはご家族が「うちの動物は調子がよい」と言えることです。
K.G
志学会、1月の月例会は、輸液治療 ~低血糖症例にグルコースたくさん入れたらNa , K , P , Ca 全部おかしくなった~ という演題で、北海道大学動物医療センターの石塚友人先生に講演していただきました。
コロナ禍ということで、ZOOMを用いて参加させていただきました。
低血糖は、私たちが日常的に遭遇する病的状態です。
したがって、グルコースを補充し低血糖を回避した際の電解質の異常に関しても、二次的なものとしてその都度補正していました。
しかし、今回、そのメカニズムを改めて学ぶことにより、電解質を乱れさせることなく血糖値を補正することができる自信をもつことができました。
また、血糖値だけでなく、ナトリウム、カリウム、リンといったわたしたちを構成する重要な物質についても改めて勉強させていただきました。
毎日の輸液治療に役立てたいと思います。S.K
今回の葉月会セミナーは井坂先生による臓器連関をテーマにした 内容でした。
心臓の収縮力に伴う腎臓の濾過量の増減の関係性など、体の中の臓器はそれぞれ密接に関連して相互作用をもたらしていると考えられています。
今回特に興味深かった点は心肺連関の「いびき(喘鳴) 」についてです。
鼻腔または鼻咽頭の部分的閉塞に伴い、ガァーガァーとガチョウのような鳴き声が特徴的であり、鼻腔内疾患や咽頭疾患を疑います。特にパグやフレンチ・ブルドッグなどのような短頭種に多く見られます。(短頭種気道症候群)
短頭種気道症候群の場合、どのような連関が起きるのか?
一例として、入眠後に無呼吸となりマイクロアローザル(深い睡眠が行われず、睡眠の質低下を及ぼすこと)を繰り返し、それに伴い低酸素血症や睡眠不足となり、肺高血圧症や心不全等を引き起こすリスクが上がると報告があります。
鼻の穴が狭い犬に関しては鼻腔を広くするような整形術があります。
早期に治療することで発生リスクを抑える事ができます
H.F