間違いやすいデンタルホームケア−歯を磨くだけじゃ不十分!飼い主に正しく指導しましょう!
講師 戸田 功 先生
とだ動物病院 院長
今回は、葉月会WEBセミナーの臨床歯科学シリーズ第3回目の講義でした。内容はお家での歯のケアについてでした。
歯周病は犬猫ともにみられる歯の病気です。犬では3歳以上で85%、7歳以上で100%歯周病が発症すると言われており、早いうちからデンタルケアをしておくことで歯を清潔に保ち、歯周病の発症や進行を緩和することができます。その為"デンタルホームケア"は、歯周病を予防する為に必要なことであり、現に多くの飼い主様が実施されていることと思います。しかし、いまだにデンタルホームケアについて誤った認識を持たれている方も多くいます。歯のケアはガーゼで拭くだけで十分なのか、無麻酔スケーリングは良いものなのか、デンタルグッズはどんなものを選択すべきなのか、歯ブラシはどんなものを選択すべきなのか、歯磨きの正しい方法をアドバイスできるかどうかなど、誤解しやすいデンタルケアについて具体的な例をあげて説明してくださいました。
特に若い頃からの歯磨きのトレーニングはぜひ実践していただきたいおうちでのケアですので、我々獣医師は正しいトレーニング方法やブラッシングの方法を、飼い主様に伝えることができるように正しい知識を持って説明する必要性があると感じました。さらにデンタルケアは歯磨きだけでなく、その子の口腔内や歯の状態に応じてガムやペースト、スプレーなどと組み合わせてセットで勧めることでより良いケアが可能になります。今後飼い主様へのアドバイスや歯周病の動物たちを治療していく上でぜひ参考にしたいと感じました.
R.I
標本の採材・染色・顕微鏡操作―正しい評価のために―
講師 小笠原 聖悟 先生
米国獣医病理学専門医(臨床病理)・アイデックスラボラトリーズ株式会社・小笠原犬猫病院
葉月会WEBセミナーの臨床病理学シリーズ第1回は、細胞診の採材、染色、顕微鏡操作についてご講義していただきました。
細胞診は、どうしても、組織診に比べると、限定的なものになりますが、その迅速性、非侵襲性は大きく勝っているため、行うことが多い検査です。その細胞診による診断をより価値のあるものにするために、自分で診断するにあたっても、あるいは、病理学専門医の先生にスライドの評価を依頼するにあたっても、まずそもそもの採材を正しく行うことから重要である、ということを再度認識しました。
診断価値のある標本を作製するためには、適切な場所から、多数の生存細胞を、正しく染色することが必要不可欠です。その3つが重要であることはもちろん認識していることなのですが、では具体的にどうするのか、ということを丁寧に教えていただきました。特に、ある程度感覚的になってしまうスライドの引き方について(引きガラスを引くタイミングなど)、病理専門医の先生のコツなどは、明日からの診察でも生かしていきたいですね。
M.K