輸液の基本
上田 悠先生
米国公認獣医師
米国獣医救急集中治療専門医
カリフォルニア大学デービス校
今回は院内のパソコンを使ってWebセミナーを受けました。
内容は輸液に関する基本的なお話を分かりやすくしていただけました。
まずは輸液にはどのような種類があるのか?というお話でした。輸液は大きく分けると晶質液、膠質液、血液製剤の3つに分けられます。晶質液はさらに等張晶質液、低張晶質液、高張晶質液に分けることが出来、その違いは浸透圧によるものです。また、その浸透圧の違いにより細胞内外でどのような水分のやりとりが行われ、どのような効果があるのかを図で示しながら解説していただきました。
次に、「なぜ輸液をつかうのか?」ということです。輸液投与を行う理由は体内水分補給、電解質・酸塩基補正、毒物強制利尿、栄養補給、薬物投与、病態治療などが挙げられます。今回はその中でも体内水分補給、電解質・酸塩基補正を目的とした際の輸液のポイントを説明していただきました。
今回のセミナーでは輸液の基礎に関してのお話でしたが、治療を行う上で非常に大切なことであり、改めて勉強になりました。
上田先生にはアメリカより朝早くからセミナーをしていただき、本当にありがとうございました。
D.T
第155回国際セミナー 神経病学 よくある状況をより良く乗り越える
金園晨一先生 どうぶつの総合病院 米国獣医神経病専門医
今回のJAHA国際セミナーは日本人で唯一の米国神経病専門医の資格を有する金園先生のセミナーでした。神経病は遭遇する機会も多いのですが、ほかの疾病を診る能力とはまた別の、神経病特有の診断方法も多く、それらをひとつひとつ丁寧に解説していただきました。先生の神経病の症例数はとても多く、症例の画像や動画も多く理解しやすい内容になっていました。
神経学的検査は神経病の診断においてはとても基本的でありますがとても重要で、どこに病変があるのかを知ることができます。痙攣の重責発作の際の薬剤の使用法、発作時の神経原性ショック、脳圧の生理学と脳圧上昇の管理、脳腫瘍についてが特に印象的でした。また頭部外傷の際にグラスゴー・コーマスケールを利用することで現在の障害の程度がわかるだけでなく、予後の判定にも使用できるために今後利用していきたいと思いました。
T.S.
葉月会 臨床免疫学シリーズセミナー
免疫抑制剤の使い方アップデート
水野 拓也 先生 山口大学動物医療センター内科系診療科
山口大学共同獣医学分野診断治療学研究室
今回は山口大学の水野先生のセミナーでした。IMHAなどの免疫抑制剤をいかにうまく使うかで生死が分かれるような状況における免疫抑制剤の使い方についていろいろとお話ししていただきました。ステロイドは安価で即効性のある薬なので第一選択薬になりますが、シクロスポリンやアザチオプリンなどは効果が出るまでに時間がかかる為注意が必要です。結論から言うと、免疫抑制剤の統一された使い方は現段階では無く、10人の医者がいれば10通りの使い方があるとのことでした。今回のセミナーでは実際に水野先生がどういった使い方をされているかを教えていただき。とても勉強になりました。
M.M.
副腎の外科
酪農学園大学獣医学部伴侶動物医療部門 廉澤剛先生
副腎の病気は副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)が有名で、その原因のひとつとして副腎の腫瘍があります。副腎は腹腔の奥深くにあったり大血管の近くにあったりと、手術時のアプローチが難しく、また腫瘍の多くでクッシング症候群などを呈するために術後の合併症などが重要になるため、今回廉澤先生にはそのポイントについて主に講義していただきました。
副腎腫瘍は横隔腹静脈をつたって大血管に侵入します。血管壁に固着している場合は手術が困難になるのですが、CTにおいて血流が腫瘍と血管壁のあいだを流れているかで固着の有無を判断できるそうです。また術後に遅い時期でも転移が生じること、大型犬においては長径5cm以上が危険因子になることも印象的でした。
副腎腫瘍は日常的によくみる腫瘍のため勉強になりました。
T.S