正常心臓のエコー解剖と、日常診療に不可欠な心エコー基本断面の出し方~パート1
宮崎大学 萩尾光美先生
心エコーの技術習得を目標に4回のシリーズとして大阪で心エコー実習が開催されました。
第1回は、右側傍胸骨長軸四腔断面および右側傍胸骨左室流出路断面の出し方をメインに学びました。
これらの断面からは、左心系と右心系の大きさとバランス、心室壁の厚さ、僧帽弁と三尖弁の状態、心室中隔欠損の有無、大動脈狭窄の有無など様々な情報を得ることができ、いくつかある心エコー断面のうち最初に描出することの多い大切な断面です。心臓に限らず、超音波検査は検者の技術が検査結果を左右してしまう性質をもっており、目的とする臓器および断面を描出する一定レベルの技術が検者に求められる検査であることを常に意識し、しっかりと復習したいと思います。
H.B.
代表的な不整脈の診断法と対処法
竹村 直行先生
日本獣医生命科学大学・教授
今回は前回教わった心電図を用いた不整脈の診断法とその対処法についてでした。
まずは心拍数、全体的な調律、P波、QRS群の形状と持続時間、P波とQRS群の関係より不整脈を判断します。
次に不整脈が存在した場合、診断し血行動態への影響を判断します。問診で食欲不振がないか、運動不耐性がないかどうか、また、身体検査で脈の強度、全身の血圧などをチェックする必要があります。
不整脈には生理的なものと病的なものが存在し、生理的不整脈は治療対象とはならず、病的不整脈が治療対象となり得ます。
病的不整脈には房室ブロック、心房細動、期外収縮、心室頻拍などがあり、それぞれの特徴的な所見や治療方法について詳しく説明していただきました。
今回も非常に分かりやすい講義で大変勉強になりました。
D.T
甲状腺と上皮小体の腫瘍外科
廉澤 剛 先生
酪農学園大学獣医臨床腫瘍学教室
今回のセミナーは犬の甲状腺および上皮小体腫瘍の外科的摘出についてでした。甲状腺腫瘍摘出のポイントは血管をいかに丁寧に処理をして出血をさせない事、反回神経を温存すること、上皮小体を残すことです。講義だけでなく手術のビデオを見せていただき、非常にわかりやすかったです。甲状腺癌は遠隔転移が少なく、外科的摘出が可能場合長期生存が望めます。肺転移をしてもその進行はゆっくりとしたもので、半年以上生存した例の報告もありました。
上皮小体の腫瘍に関しても、どれが上皮小体なのか、実際に映像で見ないと理解しにくいものを丁寧に説明していただき勉強になりました。
M.M.
小動物呼吸器病学(肺)・1
日本獣医生命科学大学 藤田 道郎先生
今回は、猫が呼吸不全を引き起こす疾患を中心に講義して頂きました。猫で呼吸不全を引き起こす疾患として代表的なものは猫喘息ですが、一般的に可逆性で初期の段階であれば治療に対する反応も良好ですが、重度になったり慢性化したりすると、肺気腫や無気肺になり、慢性閉塞性肺疾患という病態にまで陥ることがあります。そのため、早期に発見し慢性化させないことが重要となります。また今回の講義では、猫喘息と鑑別すべき疾患として、特発性肺線維症についても講義して頂きました。稀な疾患ではありますが、X線所見に多様性があるため、猫喘息との鑑別や腫瘍との鑑別に注意する必要があると感じました。今後の診療に活かしてきたいと思います。
T.H.