横浜で開催された上記学会に参加してきました。今年も日本の獣医療の最先端をいく先生方の講演が目白押しでした。
高齢犬で多い僧帽弁閉鎖不全症の治療は内科治療が基本ですが、近年外科治療の選択肢も考えられるようになってきました。日本大学で心臓外科をされている上地正実先生の講演では、僧帽弁閉鎖不全症の外科治療の適応、リスク、予後などをわかりやすく教えていただきました。
僧帽弁閉鎖不全症の症例では、外科治療も選択肢の一つとして考慮すべきであると感じました。
2月25日 葉月会国際セミナー
テキサスA&M大学 獣医緊急医療学准教授 James Barr先生
今回のセミナーは、輸液療法についてのセミナーでした。
ショックを起こしてきた患者さんに対する適切な輸液剤、輸液量を論理的に教えていただきました。
緊急時に出来るだけ早く状態を確認し、適切な処置をすることが重要なので、
今後活かしていきたいと思います。
テキサスA&M大学獣医緊急医療学 准教授James Barr先生
Dr. Barrによる葉月会セミナー2日目のテーマは輸液療法と透析療法についてでした。
前半の輸液療法のお話では、まず患畜の状態を正確に把握することが重要であるということを学びました。そして、状態を把握したうえでどの程度の輸液量をどのくらいの速度で投与したらよいか、さらに治療に用いる輸液剤の種類とそれぞれの特徴、適用法を詳しく教えてくださいました。
また、透析については血液透析と腹膜透析のメカニズムや合併症を学びました。特に血液透析は当病院でも行っている治療法なので興味をもって聞くことができました。
輸液療法、透析療法ともに非常に危険な状態の動物を救い得る治療であるため、今回ご講義いただいたことをしっかり身に着けて治療に臨みたいと思います。
午前中は東京農工大学岩崎利郎教授の「免疫抑制剤が適用になる犬と猫の皮膚疾患」の講演でした。シクロスポリンを使用した皮膚病治療は非常に役に立ちました。午後からは会員による症例発表会でした。当院からは「犬の甲状腺癌両側摘出と上皮小体温存手術の検討」を発表いたしました。
発表の中で印象に残ったのは乳び胸の内視鏡による治療と老年性の角膜潰瘍に対する表層角膜移動術でした。また明日からの診療に役立てていきたいと思います。
葉月会セミナー
消化管疾患・口からお尻まで~口腔、咽頭、食道~
東京大学動物医療センター・内科系診療科 消化器内科/画像診断科
特任助教 福島建次郎先生
今回は新たな新シリーズセミナーとして、消化管疾患を最初から学んでいくセミナーでした。まず、飼い主様からの稟告として[吐いています]とはよく聞くお話なのですが、その中で嘔吐と異なる症状、つまり嚥下困難や吐出があります。今回は飼い主様のお話の中でどのように見極めていくのかを学びました。次に吐出が疑われるときの身体検査ポイントやレントゲン写真、食道内視鏡など基礎から学ぶことができました。また次に食道の疾患でまれな疾患ではあるが見逃せない疾患や、嘔吐という主訴なのに実は鼻咽頭疾患であった症例など、考えさせられる症例を学びました。
消化器症状は日々の診察の中で本当によく遭遇する疾患です。今回学んだことを、日々の診察に活かしたいと思います。
志学会臨時国際セミナー
「ショックと頭部外傷の管理」
テキサスA&M大学獣医緊急医療学 准教授James Barr先生
今回は先日の葉月会と同じく志学会でもBarr先生の特別セミナーがありました。
志学会でのテーマはショックと頭部外傷の管理でした。
ショックとは、様々な原因によって、体の血液が、循環できない状態であり細胞の酸素交換が上手くできない状態です。結果的に低血圧の状態で緊急性があります。
今回ショックを起こす原因の分類とそれぞれの治療法をアメリカでの最新情報をまじえて学ぶことが出来ました
次に頭部外傷について学びました。頭部外傷は緊急疾患ですが、人と異なりMRIがなかなかすぐにとることが出来ません。また小動物における外傷性脳損傷の報告はほとんどされていません。
その中で緊急治療として必要なことを学びました。
日本と違うアメリカでの医療は、とても刺激的で勉強になりました。
テキサスA&M大学獣医緊急医療学 准教授James Barr先生
今回のテーマは「輸血療法」でした。
輸血療法は重篤な患者の管理において重要な役目を担う救命処置です。
今回は、血液の採取、保存方法、そして投与方法など基礎的な内容から、症例におけるプロトコルなどを実際の写真も交えてBarr先生に講義していただきました。
心エコーのためのこれだけは知っておきたい基礎知識
宮崎大学獣医外科学研究室
萩尾光美先生
心エコー検査は現在の循環器検査においてはレントゲン検査に並ぶほど汎用されるようになり、また機械の性能の向上もあってかなり詳細に心臓構造や機能に関する情報が得られるようになりました。心エコー画像の描出にはいくつか方法があるのですが、萩尾先生の描出法やチェックすべきポイントを分かりやすく講義していただきました。今後の診療に活かしていこうと思います。
眼科学セミナーシリーズ ぶどう膜炎 Part 2
アメリカ獣医眼科プログラム修了認定医 葉月会眼科診療担当ドクター 辻田 裕規先生
今回の眼科学セミナーでは、前回に引き続きぶどう膜炎についてと、後半はその他のぶどう膜の病気、主にぶどう膜の腫瘍についての講義を聞きました。
ぶどう膜炎に関しては、実際の症例の外観やスリット検査の写真を見て、ぶどう膜炎に伴う様々な症状の見分け方や、その症例に対してどのような治療を行ったのかを教えていただきました。
ぶどう膜の腫瘍については写真を多数紹介していただき、手術の様子も見ることが出来ました。
ぶどう膜炎の病気は最も多く遭遇する眼科疾患のひとつなので、今回のセミナーをしっかり活かしていきたいです。