甲状腺疾患について
今回は、犬、猫の甲状腺の疾患について講義、症例報告がありました。
犬では、甲状腺機能低下症、猫では甲状腺機能亢進症が多く認められます。
甲状腺疾患は一般血液検査等では異常値が出ないことも多いので、様々な一般状態も含めて疑っていく必要があります 。
たとえば、甲状腺機能低下症では徐々に貧血が進んできたり、心拍の低下や寒がりになったということも重要な情報です。
日々、健康診断等できちんと元気なときの正常値を把握しておくことが、早期診断に繋がります。
犬の肥満細胞腫の診断と治療
酪農学園大学 廉澤 剛
今回のセミナーでは、犬で多い悪性腫瘍である肥満細胞腫についての講義でした。
肥満細胞は、ヒスタミンという生理活性物質を保有しています。
今回、肥満細胞腫の症例におけるヒスタミン血中濃度が肥満細胞腫の動態に有用であるだろうという新たな知見をえることができました。
非常に悪性度の高い腫瘍ですので、今後の治療指針に役立てれると有意義だと感じました。
麻布大学で開かれました第7回日本獣医がん学会に参加してきました。今回のシンポジウムは肥満細胞腫についてでした。この腫瘍は日常診療で非常に遭遇する割合の高い悪性腫瘍です。肥満細胞腫の悪性度判定は術後の病理組織検査にて行うことが決まっているのですが、細胞診、臨床ステージ、犬種、発生部位、増大速度、分裂速度などによって悪性度の大まかな判定が可能となります。また、病理組織検査においても、昨年新しいグレード分類につての報告がなされています。
肥満細胞腫の治療法の組み立て方やその予後などについて改めて考えさせれる学会となりました。