南が丘動物通信

犬の腸閉塞 10年05月11日

腸閉塞は様々な原因により腸が通過障害を起こし、嘔吐や腹痛、腹囲膨満、排便回数の減少あるいは排便停止を起こす病気です。腸管が完全につまった場合(イレウス)にはこれらの症状が急激に現れます。完全には腸管がつまっておらず液状のものなど一部の腸内容が通過可能な場合(腸狭窄あるいは不完全イレウス)には初期の症状は軽度ですが、放置しておくと徐々に腸管の内容通過が悪くなり病状が悪くなっていきます。
原因として最も多いものは、石やプラスチック製品、ゴルフボールなどの消化できない異物を誤って飲み込み、腸管をつまらせてしまうことです。しかし大きな物だけが腸をつまらせるのではなく、糸やビニールなどヒモ状の物も飲み込むと腸管が徐々にアコーディオン状に折りたたまれ、最終的に通過障害を起こす場合があります。また、お腹の中の臓器に発生した腫瘍や膿瘍による腸の圧迫、腸捻転や腸重積など腸管の形態的異常、腸管の動きを調節している神経の障害、極端な便秘による大量の便など腸閉塞の原因は多岐にわたります。このように様々な原因で発生する腸閉塞の診断・治療には、Ⅹ線検査や超音波検査などの画像診断による腸内異物の存在の確認、あるいは閉塞部位の特定が欠くことができません。
腸閉塞は早期に発見され適切な治療を受ければ完治します。しかし犬が高齢である場合や対応が遅れた場合には、脱水状態やショック状態に陥り死亡することもある恐い病気です。腸管が完全につまって内容物が完全に動かなくなった場合には早急な手術が必要となります。食事や飲水の後すぐに吐き出す、うんちが出ない、お腹がふくれているなどの症状に気付かれた際には早急にご来院ください。